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福岡県社会保険労務士会メールマガジン10月号

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      福岡県社会保険労務士会メールマガジン10月号
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= 目次 =
★「退職願」と「退職届」、取扱いが一緒になっていませんか?
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★「退職願」と「退職届」、取扱いが一緒になっていませんか?
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1.退職の種類
退職には、労働者が申し出て会社が承認するという合意退職と、
会社の承認によらず、労働者一方の意思による退職(辞職)があります。
前者の合意退職は、会社に「辞めたい」というお伺いを立てる意味で
「退職願」(合意退職)といい、後者の場合は、退職の意思を表示する意味で
「退職届」といいます。

2.退職の撤回について
では、労働者が提出した「退職願」や「退職届」の撤回について、
法的に何かしらの制限はあるのでしょうか。

【退職願の場合】
「○月○日をもって退職したい」という内容の退職願いの提出は、
一般に労働契約の合意解約の申込みと解されていて、
その申込みを会社が承諾すれば、労働契約は合意により解約され、
退職が有効に成立したことになります。
従って、会社の承諾の意思表示がなされた後は、原則として退職願の撤回は
できないとされています。
逆にいえば、会社から当人に対して承諾の意思表示がなされる前であれば、
退職願の撤回ができるということになります。(白頭学院事件:大阪地裁判決平成9.8.29)

【退職届の場合】
前記したとおり、退職届は、労働者の一方的な退職の意思表示ですので、
会社が承諾することは不要です。
従って、労働者の退職の意思表示が会社に到達時点で退職の効力が生じ、
それ以降の撤回はできなくなると解されています。

3.退職願の承諾権限について
ここで問題となるのは、退職願について承諾する権限があるのは誰か、
どんな場合に「退職願」への承諾があったことになるかです。
この点について、人事部長による退職願の受理を承認の意思表示として
撤回を認めなかった判例(大隈鐵工所事件:最高裁第三小法廷判決昭和62.9.18)
があります。
ここで最高裁は次のような判断を行いました。
「私企業における労働者からの雇用契約の合意解約申込に対する
使用者の承諾の意思表示は、就業規則等に特段の定めがない限り、
辞令書の交付等一定の方式によらなければならないというものではなく、
会社の職務権限規程によれば「人事部長の固有職務権限として、
課次長待遇以上の者を除く従業員の退職願に対する承認は、
社長、副社長、専務、関係取締役との事前協議を経ることなく、
人事部長が単独でこれを決定し得ることを認めた規定」があり、
人事部長には「退職願に対する退職承認の決定権があれば
人事部長が退職願を受理したことをもって雇用契約の解約申込に対する
会社の即時承諾の意思表示がされたものというべく、これによって雇用契約の
合意解約が成立したものと解するのがむしろ当然である」

一方で、会社の業務分掌規程の厳格な運用から、
常務取締役観光部長(担当部長)にはその統括する従業員の任免に
関する人事権が分掌されていないとして、同部長による退職願受領後の
撤回を認めた事例もあります。(岡山電気軌道事件:岡山地裁判決平成3.11.19)

両者に共通していえることは、結局、退職願を受け取った者が、
退職の受理(承諾)の権限を持つかどうか、
そしてそれを、いわゆる「預かり」という形ではなく、
正式に受け取ったかどうかが決め手となるといえます。
また、退職の受理(承諾)の権限を持つかどうかについては、
一般的には人事担当の部長や役員、病院やクリニックであれば病院長などが
考えられますが、権限、手続等を会社の諸規則等により明確に定めておく
必要があるといえます。
 
4.意思表示の瑕疵について
もっとも、退職の意思表示にも民法の「錯誤無効」(95条)や
「詐欺・強迫取消」(96条)が適用されます。
そのため、懲戒事由が存在しないのに、懲戒解雇になるものと
信じてなした退職願は、その意思表示に要素の錯誤があるとして
無効とされることもありますし(北海道電力事件:函館地裁判決昭和47.7.19)、
会社から労働者に対して、詐欺・強迫による退職勧奨が行われていた
といったケース(例えば、懲戒解雇処分や告訴があり得ることを告知し、
そうなった場合の不利益を説いて退職願を提出させる)では、
退職の意思表示自体の取消を主張することが可能な場合があります。

<参考>
 民法95条
「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。
ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を
主張することができない。」

 民法96条
1項:詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2項:相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った
 場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、
 その意思表示を取り消すことができる。
3項:前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、
 これを善意の第三者に対抗することができない。

ただし、こういった意思表示の無効、取消を主張する場合には、
これを基礎づける事実を、労働者の側で立証する必要があります。

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